破壊されたアンコールワットを3D映像で復元した韓国人
土砂の山となってしまったアンコールワットのいにしえの姿を、3D(3次元)コンピューター映像で再現したもの。世界で初めてこの復元に成功したのは、(株)CGウエーブの「アンコールチーム」。このチームを率いたのは、今年34歳の韓国科学技術院(KAIST)文化技術研究センター選任研究員、朴鎮浩(パク・ジンホ)さんだ。
「12世紀にアンコールワットが初めて建てられた当時の建物全体が、サイバー空間でそっくりそのまま再現されたのです」。3週間前に結婚したばかりの朴さんは、デジタル復元(Digital Restorology)では先駆的な存在だ。高句麗時代の安鶴宮や古墳の壁画、百済の弥勒寺、新羅の王京や皇竜寺など、すべて彼の手を経てデジタル復元された。現行の歴史の国定教科書に掲載されている武寧王陵や仏国寺のいにしえの姿も、朴さんの作品だ。
「デジタル復元とは、現時点で入手できるあらゆる資料をもとに、消えた文化遺産の姿を映像でよみがえらせ、保存する作業です」。彼は幼いころ少年雑誌の科学特集を読み、遺跡の謎や未来社会のコンピューター文明に関心を持った。そうしているうち、ある時から「昔の歴史をコンピューターで再現できる方法はないだろうか」と想像をめぐらせるようになった。
そして漢陽大文化人類学科3年生だった1993年、大田エキスポで「ノアの箱舟」のコンピューター復元作業に参加した後、この未開拓分野に没頭した。ただひたすら独学でIT分野を学び、建築・衣装といった各分野でトップクラスの専門家をまるでストーカーのように追いかけ回した。
そんな彼に「アンコールワット」という新たな課題が与えられた。東西1.5キロ、南北1.3キロ、7メートルの石柱だけで1800本、5分の1以上が破壊されてしまったこの巨大な文化遺産を3Dで再現するのは、不可能に近いことのように思われた。
「現在、ドイツ・日本・フランス・インド・中国で“アナログ復元”作業をしています。しかし、どの国もデジタル復元は思いつかなかったようです」
ところが、偶然に立ち寄ったカンボジア国立博物館で思いがけない「宝物」を発見した。書庫の隅にあった、ホコリをかぶった文書を調べてみると、1964年にフランス人建築学者ナプリアン(F.Naplyian)が精巧に描いたアンコールワットの実測図だった。
「こんな物があるとは、夢にも思いませんでした。すぐに2Dドローイングの上に3Dの建物を作ってみる作業を始めました」。写真を3万枚撮影し、レーザースキャナでアンコールワットの隅々を写した。40℃を越す、うだるような暑さだったが、ほぼ毎日訪れる韓国人観光客が驚き、送ってくれる拍手があったからこそ、耐えられた。
「歴史学者のトインビーがアンコールワットを見て、“ここで余生を送りたい”と言ったそうです。アンコールワットは私にとっても、朝に夕にと無数にその姿を変え時間を止めてしまう、永遠の神の世界のようでした」
数年後、アンコールワット近辺に博物館が建てられる予定で、完成すれば韓国チームが作ったこのデジタル復元資料が展示されることになる。「世界中から集まった観光客がこれを見て、韓国人がやり遂げたことを知るでしょう」。朴さんはアンコールワット周辺の同規模の寺院も、順次デジタル修復する計画だ。すべてのプロジェクトが終わるのは2058年。その時、彼は86歳になる。
ユ・ソクジェ記者
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